母と暮せば、ファンタジーで描く親子愛と2つの悲しみ

2015年12月11日

長崎に落とされた原爆によって命を失った息子と、その母の物語。この映画は、こういった戦争モノでは珍しい、ファンタジー作品なんです。

母と暮せば、ファンタジーで描く親子愛と2つの悲しみ

息子役に嵐の二宮和也、母親役に吉永小百合。長崎や広島に投下された原爆や戦争がテーマの作品の中では珍しく、悲惨なシーンもまったく描かれていないんですが、

それでも戦争がもたらした悲しみや、やりきれない想い、取り残された母の 生きがいを見出せないつらい心情などがとても丁寧に描かれていて、きっとどの年齢層の方でもスッと心に届く映画じゃないでしょうか。

母と暮せば あらすじ

長崎に投下された原爆によって、一瞬で命を奪われた息子・福原浩二(二宮和也)。苦しむ間もなく命を奪われてしまった浩二は、取り残され、自分を諦めきれず苦しむ母・伸子(吉永小百合)のもとに、3年後に亡霊となって現れる。

その日からたびたび現れる息子の亡霊と母の、奇妙な生活が始まる。浩二が気がかりだったのは、母の事ともう1つ、結婚を誓った恋人・町子(黒木華)のこと。

母は、町子の幸せを考え、もしあの子に好きな人が出来たら、私も浩二もあの子の事を諦めなければいけないよ、と諭しますが

「彼女に一番ふさわしいのは自分だ!」「他の誰かと幸せになるなんて...」

一瞬にして命を奪われた浩二もまた、自分の死を理解していながら、自分のいなくなった世界で生きていく町子の幸せを、受け入れることができずにいた。


映画「母と暮せば」の感想

戦争を語り継いでいるのは一般的に、その体験をした人(被爆者)たち。亡くなった人は声をあげられないので、苦しみながら生き残った人が通常は語り継いでいます。

だから、残された人の視点からその当時の様子を描いた戦争映画はたくさんあるけど、亡くなった人の目線(その後、亡霊になって思いを語る)というのは、今までに無かったんじゃないかなと思います。

生き残った母もつらいけれど、なんの心の準備もできないままに命を奪われた息子だって成仏できないほど苦しんでいる。それをこの作品では比較的、重たくなりすぎないように描かれてはいるんですが、

今作では、息子が亡霊として母の前に現れてくれたから、母と息子は少しずつ時間をかけながら、胸の傷を癒しながら止まったままの時間を互いの言葉で埋めていくことで、いろんな事を受け入れる心の準備ができていったのかなと思います。

ファンタジーで、全体的に柔らかく描かれている作品なんですが、悲惨な映像がなくても、また違った視点で戦争や平和について考えることのできる映画です。

最後のシーンは、ある方向から見るとハッピーエンドなんですが、もう1方から見ると悲しすぎる。何とも言えない思いが胸に残ります。

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